手・肘外来について

手・肘の外科 (上腕から指先までを中心に)の疾患の治療を行っています。外傷、外傷後遺症、末梢神経障害、関節リウマチ、スポーツ障害、その他多岐にわたる変性疾患に対応可能です。同じ疾患でも患者様の年齢や生活背景などによって最適な治療が異なることもあります。一人ひとりの症状・背景に合わせて、保存治療、リハビリテーション、手術治療すべてを含めた、専門的な治療を行います。特に当院は、手術室、専門スタッフ、機材を十分に完備しているため、「手術」という選択肢を踏まえた上で最適な治療を提供することが可能です。手・肘の外科は一筋縄ではいかない難しい病態もあるため、限界を知りつつ、より良い治療についてご説明ができればと思います。
詳しくは外来でご相談ください。

手・肘の疾患例

手根管症候群

母指〜環指を中心にしびれや夜間痛を生じる疾患です。正中神経が手関節のあたりで絞扼・炎症を起こして生じます。ご年配の方にも多いですが、ホルモンバランスの影響で出産・更年期の女性にも多いことも知られています。保存治療として薬、装具、注射などがありますが、症状が改善しないものや重症例については手術を行います。手掌を数cm切開して行う直視下手術が基本ですが、傷を小さくした鏡視下手術も可能です。筋萎縮が強い重症例では母指の筋力を補う手術 (母指対立再建術)を行うこともあります。
肘部管症候群

環指〜小指のしびれ、手の力の入れにくさ(筋萎縮)を生じる疾患です。尺骨神経が肘のあたりで絞扼するなどして炎症を起こして生じます。症状が進行してからは、治りが悪いと言われていますので、手術を行うことが多いです。直視下で尺骨神経を剥離して、場合によっては皮下の広いスペースに移動させる手術を行うことが多いです。筋萎縮が強い重症例では神経移行術を行うこともあります。
母指CM関節症

母指のつけねの痛みを生じる疾患で、CM関節という関節の変性が原因です。まずは薬、装具、注射、リハビリなどによる保存治療を行いますが、疼痛や機能障害が強い場合は手術が有効です。主に母指の動きを温存する関節形成術、関節を固定して安定化する関節固定術があります。
デュピュイトラン拘縮

手の表面には手掌腱膜という膜がはりめぐらされていますが、その腱膜が異常な増殖・硬結をきたして、指が伸びなくなる疾患です。ご年配の男性に多く、体質的な問題もあると言われています。指が伸ばしづらくなり日常生活に支障がでるようであれば、その異常な腱膜を切除する手術が有効です。
ばね指 (狭窄性腱鞘炎)

屈筋腱は本来、浮き上がりを防ぐために腱鞘という靭帯性の膜によって包まれていますが、年齢や使い過ぎ、ホルモンバランスなどが原因となって炎症・狭窄 (腱鞘炎) が生じて、指の屈伸に引っかかりを覚えたり、痛みを生じたりします。ステロイド注射で様子をみることが多いですが、再発を繰り返す場合は手術 (腱鞘切開術) を行います。
ドケルバン症候群

母指を伸展させる腱の腱鞘炎で、母指側の手関節のあたりに痛みを生じます。ばね指と同様にステロイド注射で様子をみることが多いですが、再発を繰り返す場合は手術 (腱鞘切開術) を行います。
TFCC損傷

外傷などがきっかけとなり、小指側の手関節に痛みを生じる疾患で、手関節尺側の靭帯の損傷です。まずは薬、装具、注射、リハビリなどによる保存治療を行いますが、疼痛や機能障害が強い場合は手術が有効 (尺骨短縮術、靭帯修復術)です。
ヘバーデン結節

第1関節の痛みや変形を生じる変形性指関節症です。年齢や手の使い過ぎ、ホルモンバランスの影響などが原因と言われています。痛みが軽度の場合は、テーピングや装具、薬による保存治療を行いますが、痛みが強い場合は手術を行うことが多いです。骨棘や滑膜の切除、ピンやスクリューによる関節固定術を行います。
橈骨遠位端骨折・変形治癒

上肢の骨折の中で最も多い骨折です。転位が小さい場合はギプスシーネによる保存治療を行いますが、転位が大きい場合や早期復帰を希望される方は手術を行います。転位した骨を正しい位置に整復してプレートで固定する手術が多いです。骨折後に時間が経過し変形治癒した結果、疼痛や可動域制限が強い症例に対しては、変形を矯正する手術が有効です。通常は、橈骨を切って、正しい形に整復して腸骨の一部や人工骨を移植してプレートで固定することが多いです (矯正骨切り術)。
舟状骨骨折・偽関節

舟状骨は手首の母指側にある骨で、初診時に見逃されることが多い骨折としても知られています。他の骨と違って血流が悪いため骨癒合しにくく、痛みや可動域の原因になりうるため、骨折が見つかった場合は手術を行うことが多いです。転位が小さい場合は数mmの傷でスクリュー固定を行うことが可能です。骨癒合が得られず時間が立ったもの (偽関節) については、腸骨や橈骨の一部を移植してスクリューなどで固定する手術を行うことが多いです。
マレット指 (骨性マレット・腱性マレット)

つき指などで指先端を伸ばす腱の付着部で剥離骨折をきたして生じます (骨性マレット)。腱自体が付着部で断裂して生じることもあります (腱性マレット)。マレット指は、装具による保存治療もありますが、治療成績が安定しないため、ピンによる固定を行うことが多いです。
肘外側上顆炎 (テニス肘)

手関節を伸ばす筋肉は肘の外側に付着しています。使いすぎなどが原因で、同部に炎症を起こして痛みが生じます。まずは薬、注射、リハビリによる保存治療を行いますが、改善がない場合は手術が有効です。肘関節鏡を用いて、関節内から痛みの原因となっている腱膜付着部をけずる手術がよく行われています。

他にも、上肢の骨折全般、靭帯・腱・神経の損傷全般、関節の痛み全般、リウマチによる手指や肘の障害、ガングリオンなど良性腫瘍など、様々な疾患があり、対応可能です。外来にてお気軽にご相談ください。

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