スポーツ整形外科

スポーツ整形外科について

当院では、スポーツ障害や外傷に特化した専門的な診療を提供し、スポーツ復帰のために手術が必要な場合や回復の見込みがない場合には手術を、それ以外の場合にはリハビリを行っています。スポーツによって繰り返し負荷がかかることによって生じるスポーツ障害と、スポーツ中に発生した怪我であるスポーツ外傷に分類されます。

スポーツ障害の例

野球肘

野球やソフトボールの投球によって生じる肘を痛めるスポーツ障害の総称です。正式な医学的名称は内側上顆炎（ないそくじょうかえん）です。投球時に肘内側が拡大し、内側上顆部にある内側側副靭帯の緩みや屈曲筋群の付着部に炎症や痛みが内側型と外側の上腕骨小頭が橈骨頭とぶつかることによって、離断性骨軟骨炎という骨軟骨の遊離をきたす外側型があります。主な症状として、肘の内側が痛くなる、肘の動かしにくさ、力が入らないなどが挙げられます。野球肘は、放置すると慢性化して手術が必要になる場合もあるため、早期の治療が大切です。治療法としては、まずは投球の修正や投球量の調整、投球中の負担を軽減するためのストレッチや筋力トレーニングなどの保守療法が行われます。また、炎症を抑えるための薬物療法や、炎症が強い場合には局所注射が行われることもあります。ただし、症状が重度である場合や、保守療法が効果がない場合には内側は内側側副靭帯の再建術や外側の骨軟骨移植術といった手術治療が必要になることもあります。
テニス肘

テニス肘（lateral epicondylitis）は、肘の外側にある上腕骨外側上顆（じょうわんこつがいそくじょうか）の伸筋腱付着部に炎症が生じることによって起こる症状です。テニス選手だけでなく、マウスを使う仕事や重い荷物を運ぶ仕事など、腕を多用する職業や生活をしている人にも発症することがあります。主な症状は、外側の肘が痛むことです。手首を挙げたり、グリップしたりする際に痛みを感じ、力を入れることができなくなることがあります。また、痛みが強くなると、腕や手のひらがしびれたり、痺れたりすることもあります。治療法としては、手首や肘の周りの筋肉を鍛えるストレッチや筋力トレーニング、炎症を抑えるための湿布や薬物治療、ステロイドや多血小板血漿の注射療法などがあります。また、原因となっている運動の方法を改善することや、使用する器具の改善も有効な対策となります。手術が必要となる場合は、腱を縫合する手術や、腱を切除する手術がありますが、手術は最終的な治療法とされ、保存療法が優先されます。
疲労骨折

運動などによる繰り返しの負荷によって骨に微小な亀裂骨折が生じることで起こる骨折です。通常の骨折と異なり、急激な外力によって骨が折れるわけではありません。スポーツでよく見られる疲労骨折の部位は、脛骨、腓骨、足趾の骨などです。疲労骨折は、過剰な運動や練習、トレーニング不足、運動中の不適切な動作などによって引き起こされることが多く、競技や選手によっては特にリスクが高い場合があります。治療法は、安静、軽い運動のみ許可したり、患部を固定するためにギプスやブーツを装着したりすることがあります。また、運動やトレーニング方法の見直しや、運動前後のストレッチなどの予防策も重要です。疲労骨折は、早期に発見し、適切な治療を受けることが大切です。放置すると、治療期間が長引いたり、治療が困難になることもあるため、症状が現れた場合は早めに医師の診断を受けるようにしましょう。
腰椎分離症

10～15才頃の特に激しいスポーツや身体的な負荷が多い職業の人に発症することが多い椎間関節部の骨折を言います。初期はCTにより、レントゲンやMRIなどの画像診断が主な方法です。治療方法は軽度のものであれば安静と腰部固定帯、慎重な運動療法、NSAIDsの投与などが行われます。一方、重度のものは手術が必要になる場合があります。手術は早期に骨折部の固定が必要です。

スポーツ外傷の例

足関節捻挫

足関節捻挫は、足首を捻った際に、靭帯に過度なストレスがかかり、損傷を受けた状態です。足関節捻挫は、運動中やスポーツ中に起こりやすく、症状としては、足首の痛みや腫れ、打撲感が現れます。重症の場合、歩行や立ち上がりが困難になることもあります。慢性化すると、足首の不安定感や、再発性捻挫のリスクが高まることがあります。診断には、症状や身体検査に加えて、X線検査や超音波echo、MRIなどの画像検査が行われます。軽度の捻挫の場合は、安静と保冷療法、機能的装具による靭帯修復を待つことが多く、患部のサポーターやテーピングなどの保護を行います。重度の捻挫の場合は、靭帯縫合や再建手術が必要になる場合もあります。
膝軟骨損傷

膝の関節面にある軟骨組織が損傷する症状のことです。膝は、人体で最も負荷がかかる関節の一つであり、スポーツや日常生活での過剰な負荷によって膝の軟骨が損傷することがあります。膝軟骨損傷の治療法には、膝関節鏡下手術や、関節切開で骨軟骨柱移植、自家培養軟骨移植術を行います。
膝蓋骨脱臼

全身の関節弛緩性を基盤にちょっとしたお皿のずれで大腿骨滑車からお皿が外れてしまうことを言います。自然に整復されることもありますが、徒手的にしか戻せない膝もあります。症例の50％は再発して繰り返し外れる反復性脱臼に移行し、お皿の軟骨も傷めるため、内側膝蓋大腿靭帯を再建する手術が必要になります。
半月板損傷

半月板損傷は、スポーツの際の膝の捻挫や膝を強打したときなどに発生することが多く、急性の症状として、膝の痛み、腫れ、違和感、不安定感などが現れます。また、慢性的な症状として、膝の痛みや腫れ、膝くずれ、四頭筋萎縮が繰り返し現れることもあります。損傷した半月板は、原則的に自然に癒合せず2次的な軟骨変性を避けるためには鏡視下半月板縫合術が必要です。
膝靭帯損傷

スポーツや交通事故などで、膝に大きな力が加わった場合、外力の向きに応じて靭帯が損傷することがあります。内側側副靭帯は外反力によって、外側側副靭帯は内反力によって損傷し、また脛骨上端の前内方に向かう外力で前十字靭帯、後方への外力で後十字靭帯が損傷することがあります。内側側副靭帯損傷が最も頻繁に起こり、外側側副靭帯の単独損傷は非常にまれです。強い外力がかかると、複数の靭帯に損傷が及ぶこともあります。前十字靭帯は膝の不安定性を助長し、膝くずれを繰り返すとプレーのパフォーマンスが下がり、加速度的に軟骨変性が進行するため再建術を必要とします。
アキレス腱断裂

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉（腓腹筋）からかかと骨につながる大きな腱で、歩行や走行などの足の動きに欠かせない役割を果たしています。
アキレス腱断裂は、この腱が断裂してしまうことを指します。主に40代以上の男性に多く、スポーツや激しい運動が原因となり発生することがあります。突然、かかと部分から痛みが走り、足を地面につけたまま立つことができなくなる場合があります。治療には、保守療法と手術療法があり、患者の年齢やアキレス腱の損傷状態に応じて、適切な治療方法が選択されます。保守療法では、キャストやブーツなどの装具を使用し、患部を低屈位も固定して治療を行います。手術療法では、断裂した腱を縫合または再建する手術を行います。治療後は、リハビリテーションを行い、足の機能を回復させるためのトレーニングを行います。
肉離れ

肉離れは、筋膜や筋腱移行部が過剰な力や伸張によって筋線維の断裂または筋腱移行部の腱剥離が起こることです。スポーツ中に急激な動きや方向転換をしたり、着地時の衝撃によって生じることが多く、下肢を中心に多く発生します。症状としては、痛み、腫れ、打撲、筋肉が緊張した状態、動かすことが困難、もしくは不可能な場合があります。治療法としては、炎症や痛みの軽減を目的とした安静や固定、アイシング、物理療法、リハビリテーションなどが行われる場合があります。大腿二頭筋の坐骨結節剥離などの重度の場合は手術も必要となることがあります。
肩関節脱臼

肩関節脱臼は、肩関節の骨の適合位置関係が失われ、肩関節が正常な位置から外れてしまうことを指します。スポーツ外傷によって引き起こされることがあり、特にアメリカンフットボールやバレーボール、サッカーなどの接触性スポーツでよく見られます。脱臼の程度によっては、自然に戻ることもありますが、再発することがあるため、適切な治療が必要です。治療には、関節を安定化するための手術的治療があります。
肩腱板損傷

肩腱板損傷は、肩関節を構成する4つの腱板の腱が損傷する状態を指します。スポーツにおいては、アメリカンフットボール、ラグビー、テニス、バレーボールなどで発生することが多く、腕を上げたり後ろに引いたりする運動が原因となります。症状としては、肩の痛みや可動域の制限、弱り感、異音や腫れなどが現れることがあります。治療法は、症状の軽重によって異なりますが、リハビリや投薬、物理療法などが行われます。重度の場合は断裂した腱を縫合する手術が必要な場合もあります。

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